「リブート!」福田和代(双葉文庫)

「リブート!」読了

リンカーシステムをめぐる物語。システムのつながりと人のつながりを描いた物語。最初は主人公である横田を中心に物語が進んでいくが、主人公のライバルとして登場する中瀬川の成長物語にいつのまにか収斂していく。

 

それにしてもびっくりしたのが小説が終わった後だった。解説者としてなんと小飼弾が登場して読者たちを自分の世界に(無理矢理)連れて行ってしまった。

今回の物語はサーバ系が中心に進んでいくが、通常の銀行のシステムではホストが幅をきかせており古びた伝統的な分野なのに、なぜ小飼弾なのかという衝撃でその日は眠れなくなってしまった。

 

小説の内容からは想像もつかない解説者であるが解説は見事だった。

銀行(ホスト)と自分(Web系)を見事にリンクさせて小説を解説する。その見事な文章の展開と言ったら、マジックでも見せられているかのようだった。

 

主人公とそのライバル、合併したそれぞれのシステム、ホストとWeb系、小説と解説のつながりを念頭に置きながら小説を読むとおもしろい。