電車で隣に乗った人

電車で隣に乗った人が美しかった。

髪はロングであるが、少しパーマがかかっている。ピンクの上品なコートを着ており、コートを着たまま座席に座っている。スターバックスのコーヒーを時々飲み、袋に入ったパンをほおばりながら、小気味よくMacに文字を打ち込んでいく。

自分は眠たくて、寝たり起きたり、うつらうつらしながら隣の人が熱心に文字を打ち込んでいくのを見ている。周りを意識しているのか、自分の書いている内容を人に見せたくないのかMacをテーブルの上から自分の膝の上に乗せたりして変わらないタイピングで文字を打ち込んでいる。

新幹線の狭い車内なのに非常に他の人がディスプレイを見るのを恐れているように見える。

1時間半ほど打ち込んだ後慣れた手つきでMacをシャットダウンさせ、片手でカバンに押し込む、コーヒーを惜しむかのように飲み干し、おもむろに立ち上がって、傘を左腕にかけ、カバンを悠然と抱えて、京都駅で降りていった。