昔行った図書館のおはなし

小さい頃、中学生の頃だろうか。

本を読めば知識を得て、世の中のすべての問題をうまく解決できると感じていた。片っ端から本を読んでいたが、学校の図書室へいくと大量の本があり、本屋へ行くとまた大量の本があり、町の図書館へ行くと更に多くの本が、まるで多くの木が生い茂っているジャングルのように、整然ではあるが並んでいた。

来る日も来る日も本を読み進めていったが、終わりは無かった。それは象に対して爪楊枝一本で戦うかのように無意味で終わりが無いことを少しも考えていなかった当時の自分がとても悲しい。

しかし、図書館に行くことは楽しく、よく母親の運転する中古のオンボロ軽自動車に同乗しては、本のジャングルの中をさまよっていた。それは北海道の小さな小さな図書館。北海道であることを最大限に生かし、一階だけでその図書館のすべての本をそろえられていた。

建物に入ると夏でもひんやりしていた。入り口には水槽があり、金魚がまじめに泳いでいた。

中学校を卒業するくらいにやっと自分の考えていることをアホらしいことに気づいたが、それでも読書はやめなかった。それは文章の楽しさに気づいたからである。

当時ほどでは無いが、今でも本はやめられない。