「幕末転勤物語 ~一五〇年前の家族日記~」(NHKスペシャル)

NHKスペシャル「幕末転勤物語 ~一五〇年前の家族日記~」を見る。

自分が転勤(単身赴任)をしていて、結構つらい思いをしている。ほかの家族がどのような思いで、転勤しているか見てみたかった。

古くは菅原道真から、どこの国でも、どの時代でも転勤というのは発生する。自分の会社生活も15年が過ぎているがこれまで大きな転勤は2回経験している。1回目は独身であったこともあるが、割とすんなり受け入れることができた。転勤してから結婚して、子供ができたがそれまでは良かった。その後家を建てるとそれまでのように行かなくなる。共働きで子供を隣の義父母に見てもらっているのであればなおさらである。いくつかの理由により去年からさみしい単身赴任生活が始まった。

今回見た幕末転勤物語は、柏崎日記、桑名日記をドラマ化したものである。この柏崎日記、桑名日記は江戸時代末期の話であり、桑名藩に仕えていた渡部平太夫、勝之助親子のうち勝之助が桑名藩から柏崎に転勤した際に親子で交わした交換日記である。この日記にはこの時代の柏崎、桑名のそれぞれの土地、風俗などを記してある第一級の史料になる。この日記を元にした本も数多く出版されている。

ドラマの合間には日記を記した渡部平太夫、勝之助の子孫が登場している。子孫もNTTにつとめているが、やはり転勤族のようでこの映像に出てきたタイミングでは異動願いを出していたが、異動がかなわなかった場面を映し出していた。年齢も今の自分と同じくらい。少しさみしそうだった。

それにしても江戸時代だから家族帯同で転勤しているのかと思ったら勝之助家族は長男を桑名に置いていった。ドラマ上ではあまり詳しく説明していなかったが、おそらく平太夫、勝之助親子の2家族が同時に出仕している関係で、平太夫側に何かあった場合に養子縁組できるようにして、2家族出仕の状態を続けたいからに見えた。

結局勝之助は妻と生まれたばかりの娘を連れて転勤先に向かっていった。離ればなれになった親子それぞれの悲しさを思うとつらくなった。

ドラマの中はあまり良い結果になっていなかったが、最後に現代の渡部さんが話題にあがった。ドラマに後に宮崎への転勤があったが、そのままその地に腰をおろしたそうだ。最後の最後でちょっと希望が持てて良かった。