細分化の行く末

 自動車保険の細分化が進んでいる。昔は等級による割引しか無かったが、インターネットが一般化してから走る分だけと言う触れ込みであまり走らない人を割引にしている、また40代、50代が割安となる保険が出てきている。

 さらには、自動車の運転の傾向をデータとして採取して、その傾向を元に保険料の割引を行う仕組みがある保険まで出てくるとのこと。

 今までは等級制度がそれを表していたと思う。例えば、走行距離が少ない人は保険等級が次第に上がっていく。また、結果的に無事故の人も等級が上がっていく。しかし、最初は低い等級から始まっていって、無事故を継続していくと等級が上がっていく。

 それが今は最初から割引がかかってしまう。統計的に事故率が低い、走行距離が少ない人、事故率の低い年代を割引にすると言うことは、逆に事故率が高い人(例えば、若い人や、スポーツカーに乗っている人)の保険料が高くなってしまう。

 おそらく今後も事故率が低くなる条件を見つけるたびに割引を行う保険が増えてきて、条件に合致する人は保険料の支払いが少なくなるが、若い人など事故率が高い人はまた一つ車に乗るときのハードルが高くなると思われる。

 これは、車だけで無く生命保険でも同じだ。例えば、たばこを吸わない人が割引になる保険がある。自分もこの保険に加入している。病気になりにくい人の保険料が割引されて、病気になりやすい人の保険料が高くなっていく。

 病気になりやすい人、なりにくい人のデータが集まりやすい状況になってきていて、データが集まることで新たな条件が見つかる。条件によって優位な差が見つかればそれが新たな保険商品になる。

 今までは玉石混交で保険料も同じ水準だったものが、玉と石が分けられていく。これは保険だけに限ったもので無く、果物でも同じことが起きている。

 スーパーの果物売り場には、いま糖度が表示されている。同じ柿でも糖度によって値段が違う。今までは柿であればブランドで価格が違うくらいだったものが、糖度によって値段が変わってくる。今はセンサーでひとつひとつの糖度を測ることができるようになってきていて、糖度によって値段をつけられる。これも玉と石が分けられている事例になる。

 今後も個体によって分かれていくことがすすんで行くと思われる。保険のようにお金がかかりそう(保険支払いが増える)人には保険料を高く、逆の人は保険料を低く、個体単位で決めていくことになる。果物も個体単位で糖度などの条件を元に価値の高いものは価格を高くすることができ、価値の低いものは安くなる。