秋田に向かう

 いま、秋田新幹線に乗っている。

 本来であれば飛行機で向かう予定だったのに何で新幹線に乗っているのだろうか。「思い起こしてみよう」と思ったけど思い起こすほどでも無かった。

 

 うちのリーダから「秋田へデモに行ってくれ」と依頼があったのは、2~3週間前だったような気がする。商品のデモに行く必要がちょくちょくあるけど、自分はあまり行ったことが無かった。現在の部署に来た理由が商談では無かったためだった。

 なんとなく断り続けていたけど、ここになって他の人が忙しく対応できないことになり、またこの商談が東北ということもあり、北国出身の自分に白羽の矢が立ってしまったのだった。

 

 いつも自宅に帰るのと同じように飛行機の確保をしたけれど、初めての秋田だというのに気乗りしなかったこともあり、最終便で向かうことにした。しかし、当日になって秋田側で雪が降ってきたせいで、出発する便が飛行機の出発可能かどうかの検討をぎりぎりまで行う「天候調査中」になってしまった。最終便だけだったら一つ前の便にすれば良かったけど、その一つ前の便も同じ状況で、欠航になったときにデモに行けなくなる可能性が出てきたのだった。

 

 仕方が無いため、飛行機より確実な新幹線を利用することになり、予定より少し早めに会社を出て、東京駅から新幹線に乗ることにした。新幹線で4時間はなかなか骨が折れる。北海道にいた頃も、電車で片道4時間は何度も経験があり、そこまでのハードルでは無いけど他の人だとびっくりする。自分的には特に大きな問題は無かった。

 

 秋田新幹線に初めて乗ったが、今までの新幹線と考えていたものから大きく外れるものだった。まずは東京駅で北海道新幹線はやぶさ」と連結されている。まあ、これはいいでしょう。盛岡まで連結したまま走行して、そこで「こまち」単独行動になるのだが、単独で盛岡駅を出てすぐに、待ち合わせで車両が停止した。待ち合わせしていたのは、同じ小町だった。さらには結構速度が遅いし、窓から外を見てみると民家が目の前にあったりした。普通だったら防音壁みたいなものがあってもよかったと思った。

 最後にはスイッチバックが待っていた。秋田県に入り、そろそろ秋田駅に近づいてきたころで大曲駅というところで停車した。少し待ったと思ったら、後ろ向きに新幹線が走り出して、そのまま秋田駅まで後ろ向きのままだった。多分座席を回転させてもよかったのだろうけど、自分だけ回転させて前の人が回転させず、向き合ったままになるのもつらいので、結局そのままにしてしまった。

 速度的にも特急くらいのものであまり早くなかったけど、いままでのイメージを覆されるのがよかった。