「睡眠の化学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか」櫻井武(講談社ブルーバックス)

 ここ何年か眠れない日があり、仕事も忙しく夜遅くに寝てしまう。お昼休みに寝てはいるけど、なかなか疲れがとれない。睡眠を改善したいと思っているけど、まずは睡眠の仕組みを知るためにこの本を購入してみた。

 この本は、ブルーバックスということもあって睡眠を科学的に分析したもので、睡眠の改善を指南する本ではない。

 睡眠の科学となるとまずはレム睡眠とノンレム睡眠の話になるけど今まで学んできた知識からだいぶ変化している。レム睡眠は浅い眠りと言われてきていたが、最近では間違いといわれている。その内容が詳しく記載されている。自分の若いころからだいぶ研究が進んでおり、最新の研究結果をわかりやすく解説している。

 この本では夢の話も出てきていて、睡眠と夢というものは切っても切り離せないものだということがわかる。特に夢の中に出てくる内容が、現実なのか夢なのかわからない根本の原因が、前頭前野の機能が落ちることによりメタ認知能力が落ち、自分の思考、行動を客観的に認知することができなくなってしまうことらしい。

 

 この本で一番ためになったのは自分の息子の異常行動の原因を理解できたこと。息子はたまに、夜寝た後、1~2時間経過した後にいきなり起きだし、泣きながら歩き回る症状があった。

 トイレに行って寝かしつけるとしばらくして再び寝てしまう。翌日その時の話をしても、本人は全く覚えていない。なんか怖い夢でも見ているのかと思ったけれど、この本に息子の行動と全く同じことを述べていて、「夜驚症」というものだった。

 息子の症状はこの後もずっと続いていくかどうか、不安だったけど10歳くらいまでの疾患と書いてあるので、今後症状がなくなっていくことがわかり安心した。これも子供の睡眠システムの成熟が進んでいないため発生しているとのこと。

 自分の睡眠の改善のために読み始めたのだけれども思わぬ形で息子との行動の原因がわかって、すごくためになった。今後、ブルーバックスのほかの本を読み進めてみたくなった。