幻想ギネコクラシー2(沙村広明)

 沙村広明は短編が面白い。もう20年くらい前になるが、大学生の時何気なくサークルの部室で読んだ「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」に衝撃を受けた。どう言い表してよいかわからない類の漫画だったが、沙村ワールドに入り込んでしまっていた。単行本「おひっこし」も購入してしまった。ほかの漫画も含めて購入した漫画はたいてい引っ越しのタイミングで売ってしまうのだが、この本は残ったままとなっていた。

 それぐらい好きだった沙村広明の短編だが、そのあとも短編漫画を出していたのに、なぜか手が出ずじまいだった。

 2~3年前に、Amazonで安売りしていた幻想ギネコクラシーを購入して、久しぶりに沙村ワールドにはまり、今回は2をポイント還元セールで購入してしまった。当時ほどの熱はないけれど淡々と買い続けている感じかな?

 読んでみるといつもの沙村ワールドが展開。いつの間にか読み終わってしまった。

 いくつかの作品をピックアップしてみたい。

 

1.軍傳(いくさつたえ)

 とある剣の使い手の話。生涯無敗だけれどもその理由は・・・

 万次っぽい顔つきのおっさんが出てくる。やはり無限の住人を書いているだけあって剣術のシーンの書き込みっぷりがすごい。

 

2.道連道

 車の排気口からホースをつなぎ車の窓を少し開けて社内にへ通している。排気ガスを車内に入れることで死のうと考えているように見える。しかし、空いている窓のホース以外のところは目張りしていないので新鮮な空気が入ってしまう。これで本当に死のうとしているのか、それとも本人の抜けているところを表現したいのか、いまいちよくわからなかった。

 醤油一升瓶飲み干して死のうとしているのは、戦争のころの話で聞いたことあるけど漫画のネタで見るのは初めてかも。

 

3.最高!グランマ

 祖母も孫も同じ道へ。ページが少ないけど良い落ち。うまく落とされた。

 

4.ぷれぐなぷれぐな

 結婚間近のカップルの金沢旅行。とある理由で妊婦体験ジャケットを着ていくことになる。

 これもよい落ちだった。最初は彼氏側の昔の彼女の話が多くて落ちはそれ系のものになるかと思っていたけど、まさかあんな落ちになるとは・・・