「持たない幸福論」pha(幻冬舎文庫)

仕事に疲れているとこんな本が心に響く。

 著者のphaは28歳の時に会社員のだるさ、つらさを我慢できず、会社に所属しない人生を選択した。著書の中でも生き方に批判を受けていると書いている。ホームページを見てみたけど、確かに記事のコメント欄でかなり突っ込まれていた。おそらく批判する人は、この生き方を羨んでいるのだと思う。

 自分はただただ才能があると感心してしまい、一本の筋が通っていることにうらやましいと感じてしまう。自分は弱い人間なので本で指摘されているように様々なプレッシャーに負けてしまって生きている。家族を持ってしまったり、仕事を辞められない、仕事をやっていても納期のプレッシャーがあって残業してでもそれに対峙してしまう。

 けれどこんな状態は良いとは思っていなく、今のうちに稼いでおいて貯金し、将来は早めにリタイヤして、のんびりとした生活を送りたいと思っている。

 この本を読んでみるとなんだか穏やか教祖様からジワジワ宗旨を教え込まれている様に感じてしまう。また文体がノンビリとしている事もあり癒される感じがある。おそらく宗旨が中庸だからだと思う。働くことを敵視しているわけで無く、無職の状態が全く悪いとも言わず。バランスの取り方だと言っている。確かにプロと呼ばれるくらいに仕事を極めるのは悪くないが、それによって体を壊してしまったり、その仕事が時代の流れによってつぶしがきかなくなる可能性がある。それよりはバランスをとって、仕事と仕事をしない状態をバランスとをとって生きていきたいと思う。

 

 本を読んでいく中で、紹介している本を後でメモっておこうかと思ったけど、本の最後にブックガイドが載っていた。自分もすごく影響されたジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄――一万三000年にわたる人類史の謎」を取り上げたのも好感が持てる。