「努力しないで作家になる方法」鯨統一郎(光文社文庫)

 先日、同じ作家の「作家で十年生きのびる方法」を読んだときに前作があること知り、早めに読んでおこうと思った。

tegrafet.hatenablog.com

 この本ではまだ作家になっていない、まだ何物でもない状態の作家の卵が生活にもがきながらも作家になっていく道筋が描かれている。タイトルでは「努力しないで」としているのに、かなり努力している。(おそらくこんな感じで突っ込んでもらいたかったのかも?)

 この本の紹介文にも書かれ、本を読むとこの小説が自身の体験からきているか、それをもとにしたフィクションであることに気付く。例えば、著者の名前と主人公の名前の類似性、著者のデビュー作のタイトルと主人公のデビュー作のタイトルが同じなど、類似性はいくつも上げることができる。

 それにしても、途中で中断はあったにせよ作家になるまでに17年も努力し続けるということはそれだけでも一つの才能だと思う。その中でもアイデアを取り続けること、賞に応募し続けること、そもそも小説を書き終えることというのは結構難しい。

 大学時代には同人誌をしていたし、会社に入ってからも小説を書き続ける。妻は応援してくれるが、同人誌の仲間や会社の同僚は手厳しい。

 妻は最初作家を目指すことに否定的だったものの主人公の熱意に負けたのか、途中からよき理解者となり応援をする。特にワープロのところは夫婦愛がグッとくる。

 

 自分も文章で食べていきたい。出版という形態にはこだわらない。ブログでいい。文章で食べていきたい。