「毒親と絶縁する」(集英社新書) 古谷経衡

 自伝は飲み会に似ている。

 自分のこれまでの歴史を人に披露するのが自伝だけれど、小説とは違うリアリティがある。苦労話を披露するときにちょっと盛ってしまう。目の前にいる人にはできるだけ自分をかっこよく見せたい。自伝を書くときの気持ちが飲み会にも出てくるときがある。

 自分も飲み会では人の話を聞くのが好きでついつい聞き入って、相手の人となりを探ってしまう。そんな雰囲気が自伝でも出てしまう。

 

 Yahooニュースを何気なく覗いていたときに紹介記事を見て、内容の深刻さに本を購入した。

 母の嫌がらせでシャワーを浴びている際に元栓を締められる冷水シャワーは北海道の寒さを知っている身としては恐怖を感じた。

 

 この本を貫いているのは怨念に尽きる。

 小さい頃から親に虐げられた恨みがどのページからもにじみ出ている。その怨念の深さが、読んでいるものを大きな手でつかんで放さない。

 

 自分の親との関係を思い出したが、それ以上に自分の子供との関係を考えさせられた。同じことをしつこく言い続けるのではなく、いろんな体験をさせてあげたいと思う。