鹿とアイスバーン

 とあるお客様で作業があった。市街地から30分離れたところにあり周りがほとんど畑しかないような事務所だった。作業に時間がかかってしまい終わったのは日もとっくに落ちている18時だった。

 作業に付き合ってくれた職員の人が帰り際に忠告してくれた。

 「帰り道はブラックアイスバーンと鹿に気を付けた方がいい」

 確かに事務所に来たのは日中で今はもう日が暮れている。忠告に従ってスピードを落として帰った。そろそろ市街地に入ろうとした時に道路の脇に鹿がいるのを見た。減速を始めてあらためて前を見たら道路の真ん中にも一匹居た。慌ててブレーキを踏み込んでなんとか2〜3メートルのところで止まることができた。鹿も驚いたのか飛び跳ねて逃げて行った。

 忠告が無ければもう少しスピードを出していたはず。危なかった。

 

 今回の作業は4人のメンバーで手分けした。翌日も作業がありホテルに泊まる。いつもならここで一杯となるけれども、ここでは1週間前からコロナ感染者が急増していたので諦めることにした。一人ホテルに戻る。

 晩ご飯を食べに近くのラーメン屋に向かったら20時前だというのにもう閉まっている。 少し周りを歩いてみたらどこも閉まっている。コロナ恐るべし。仕方なくコンビニで晩ご飯を購入してホテルで食べた。

 

 週末ということありホテル内も人がまばらだった。

 

 この状況がどのくらい続くか考えると気持ちが落ち込んでしまう。

 〇〇ができない問い状況になった時、元々できていた頃、それに関わっていた人がどうなったか考えてしまう。

 ラーメン屋が閉まっていたときに、その店員さんどうなってしまうのだろうか。いつもより早く帰れて得した気分になるかもしれないけど、それと同時に給料が減ってしまう。自分と同じように気分が落ち込んでいるのか、イロイロな想像が頭を駆け巡る。

 コロナよって突然発生したこの状況に鹿のように飛び跳ねるしか無いのか?